仕事の基本と言えば、「ホウ・レン・ソウ」です。
言わずもがな、その正体は報告、連絡、相談の3つのコミュニケーションです。
よく若手のビジネスパーソンから報告と相談って何が違うの? という質問が出てきます。
たしかに言われてみれば、日本語の意味としては非常に似通った言葉ですよね。
ですが、ビジネスの世界において、報告と連絡はまったく違うものです。この違いをきちんと知っている人と、知らない人とでは仕事力に明らかな差が出てきます。
ぜひ、この記事できちんと報告と連絡の違いを知り、一段階上のビジネスパーソンを目指してください。
評価される人は「報告」と「連絡」の違いを知っている
仕事の質は他の人と大差ないのに、なぜか評価が高い人っていますよね。
そういうなぜか評価が高い人は、「報告上手」「連絡上手」であることが非常に多いんです。
「ホウ・レン・ソウ」が仕事の基本と言われるのは、上司に報告したり連絡したり相談したりするシーンが多いからです。そういった多発するシーンで上手に上司を操れる人が評価されるのは当たり前ですよね。
まずは、ここで「報告」と「連絡」の違いを改めて学んでいきましょう。
「報告」とは上司に「YESと言わせる」こと
まずは「報告」です。
単純に上司に「仕事の成果」を話したり、「仕事の経過」を話したりすることを「報告」だと思っていませんか?
それは、大きな間違いです。ビジネスの世界において報告とは、上司に「YESと言わせること」を指します。
どういうことかと言うと、「先週は●●件、新規の営業先を獲得しました。これは●●な工夫をしたからです」と報告し、上司が「よくやった」と思って、はじめて「いい報告」になるのです。つまり、上司があなたに好感を持つ報告をすることが大切なのです。
いつも仕事がうまくいっていれば、「報告」することは簡単です。ですが、ときには仕事がうまくいかないこともあるでしょう。
そんなときも「先週は新規の営業先の獲得に失敗してしまいました。理由を自分なりに考えましたが、●●だと思います。ご指導いただけますでしょうか」と「報告」すれば、あなたの好感度は上がります。
つねに上司に「YES」と言わせる「報告」を意識してください。
「連絡」とは上司に「GOと言わせる」こと
次に「連絡」です。「連絡」は、上司に「GO」と言わせる意識で行います。これも具体例でご紹介しましょう。
「先日、ある企業が●●を企画していると耳にしました」。
ここで終わってしまえば、下手な連絡になってしまいます。
そこで、「なので、私も●●に対抗した商品を企画してみました。どこかで一度お打合せできないでしょうか?」と言えば、上司は「GO」をするか、つまり、あなたの企画を進行するかを判断しようと思うはずです。
よく「本日は●●さんがお休みです。風邪だと言っていました」といったような会話を連絡だと思っている人がいますが、これは単なる雑談に近いものです。
ビジネス上の「連絡」とはまた違ったものであることを覚えておいてください。
「報告」と「連絡」を混同すると上司に嫌われる
上司が一番嫌がるのが「報告」と「連絡」を混同してくる部下です。
基本的に「報告」は「完了した仕事」に対する、あなたの反省だったり、今後の企画だったりを伝えるために行うものです。一方連絡は「これから始まる仕事」や「進行中の仕事の進度」を伝えるためのもの。
2つを混同した例をご紹介しましょう。
「半年かけたプロジェクトでしたが、●●円の利益に終わりました。来月から始まる次のプロジェクトは、チーム一体となってもっと利益を出したいと存じます」これは、「完了した仕事」と「これから始まる仕事」についてを同時に伝えている悪例です。
この場合は、次のようにきちんと「報告」をしましょう。
「半年かけたプロジェクトでしたが、●●円の利益に終わってしまいました。これは、チーム1人あたりの利益が●●円に終わったことが原因です。1人1人があと1件新規の営業先を獲得していれば、●●円まで利益を伸ばすことができました」と、反省と改善策を述べるのです。
悪例と良例、どちらが上司にとってわかりやすい伝え方かは明確ですよね。
「報告のコツ」「連絡のコツ」——わずかな差で人の心を掴む!
ここまで「報告」と「連絡」の違いを説明してきました。
では、どうすれば上手に「報告」や「連絡」できるのでしょうか?
安心してください。とっても簡単なコツがあります。
しかも誰でも簡単にできるのに、一気に「報告」上手、「連絡」上手になれる優れもののコツです。
ぜひ、「これならできる」と思ったものから、少しずつ試してみてください。それだけであなたの評価は激変するはずですよ。
「報告」では必ず「自分の意志」を伝える
「報告」が上手な人は、必ず報告に「自分の意志」を入れ込みます。
どういうことかと言うと、ある「完了した仕事」に対して、あなたの意志でどう変えるかを伝えるのです。早速、具体例を見ていきましょう。
「先月発売した新商品の売上は●●円でした。目標額である▲▲円を突破することができたのは、Twitter広告が2万件リツイートされた広告効果が大きかったと思います」ここまでが報告ですね。
これでもうまい「報告」ですが、さらに一歩先を行きましょう。
「今月は、このTwitter広告と同様の広告をFacebookにも打ち出し、さらに新規顧客を獲得したいと考えています。資料をまとめましたので、お時間のある時にお目通しいただけますでしょうか」。
「自分の意志」で考えたことを「報告」につけ加えるだけで、一段上の「報告」になったことがよくわかると思います。
「報告」を単なる結果報告にしては、あまりにもったいない。
あなたの積極性をアピールする場に変えていきましょう。
「連絡」では必ず「客観的情報」を付け加える
次に「連絡」のコツです。
「連絡」で大切なのは、「報告」と打って変わって、「客観的情報」を付け加えること。
たとえば、「現在、進行中のプロジェクトですが、ここまでで●●円の利益を出しています。同業他社の同様のプロジェクトは▲▲円の利益で、■■円、わが社がリードしています」。
これが、上手な連絡です。
いくらあなたが口先だけで、プロジェクトがうまくいっていると説明しても上司は納得しません。
大切なのは客観的情報である「数字」を入れたり、実際の「口コミ」を見せることです。
つまり、信頼度の高い「連絡」をするように心がけること。それだけで、あなた自身の信頼度も高まります。
「連絡」してから「報告」の順番を必ず守る
最後に絶対に守ってほしいことが1つあります。
「連絡」してから「報告」する順番を必ず守ってほしいのです。
先述したように、「連絡」とは基本的に「進行中の仕事」を伝える作業であり、「報告」とは「完了した仕事」について話すことだからです。
「客観的情報」に基づいた信頼性の高い「連絡」で仕事の進度を伝え、最後の「自分の意志」を交えた「報告」をする。
この順番を守らないと、上司はその仕事がどういう状態なのかがわからなくなります。
上司を混乱させれば、あなたの評価は下がってしまいます。順番を間違えただけで評価が下がってしますのですから、最も気を付けたいポイントです。
ぜひ、肝に銘じてください。
今日からあなたも「ホウレンソウ」マスターになる!
仕事の基本「ホウ・レン・ソウ」——これをきちんとできているビジネスパーソンは、あまり多くありません。
逆に言えば、この仕事の基本さえできていれば、あなたの評価はうなぎ登り。他の同期とは違った目で見られることでしょう。
ぜひ、この記事で学んだことを1つずつ試してみてください。
あなたも今日から「ホウ・レン・ソウ」マスターの一員ですよ。