会社勤めを続けていれば、何らかの事情により会社に退職届を提出する場面が訪れるかもしれません。
退職届を出す時にはタイミングが非常に重要となります。
ずばり、
・退職を切り出すタイミングは「夕方」
・退職日は「就業規則を確認」し「引き継ぎスケジュールから逆算」して決定
・周囲が忙しくない時を見計る
これがポイントです。
これらの点に気をつければ、円満退社、退社後のバラ色の人生が待ち受けています。
退職届を出すタイミングを間違えた。その失敗事例とは?
退職届を出すタイミングはなかなか難しいものがあります。いざ切り出そうと思ってもなかなか勇気が出ない、退職届を出したもののその後困ってしまった、このようなケースは多々あります。
そこで、失敗するパターンとはどのようなものなのか少し整理してみたいと思います。
失敗事例その1 自分のスケジュールと合っていなかった
退職届を出すタイミングを間違えるパターンの一つに「自分の計画したスケジュールと合っていなかった」ことが挙げられます。つまり、いざ退職を切り出したものの、引き継ぎに想定以上の時間がかかることがわかり希望した日に退職できなくなるということです。
通常は、いったん退職を切り出してしまえば退職日を調整の上、その退職日を踏まえて引き継ぎが行われます。あとは無理矢理にでも引き継ぎを行い退職日となります。しかし、あまりに無計画すぎる場合、引き継ぎの時間が取れず退職日を伸ばされてしまう恐れがあります。
もし転職先の入社スケジュールが既に決まっているのであれば目も当てられない状況となります。退職日=転職先の入社日としていることが多いからです。転職先の会社はあなたを待ってくれません。「退職できない」「入社日を待ってほしい」と懇願した途端、転職先の会社からこう思われてしまいます。
(何か揉めてるのか?)
これからお世話になる会社にこう思われてしまってはお先真っ暗です。
失敗事例その2 業務状況と合っていなかった
退職を切り出したものの、思わぬ反感を買ってしまうこともあります。
現在の日本では転職が当たり前となっているため「退職する」と言っても周囲は何とも思わないことがほとんどです。(中には快く思わない人がいるかもしれませんが、そんな人は了見の狭い人なのでほっときましょう。)
しかし、繁盛期にいきなり退職を切り出すと周囲からは「何も考えていない無責任な奴だ」と反感を買われてしまいます。こうなると、無責任というレッテルを貼られた上に針のむしろ状態になってしまいます。
最悪な場合、転職という夢を叶えるために心身共に衰弱してしまい、転職先に出社するころには精神的に滅入ってしまう状況に陥ることもあり得ます。
失敗事例その3 早く出し過ぎてしまった
引き継ぎを意識しすぎるがあまり、退職届を早く出し過ぎてしまうケースもあります。
引き継ぎをきちんと意識し、余裕を持った退職日を設定すれば周囲に迷惑をかけることはありません。むしろありがたく思われるでしょう。
問題は、上司との関係になります。
上司からすると、
(何か不満があって辞めたのか?俺が原因か?)
などとあなたを疑心暗鬼の目で見るようになります。上司が心の中で思っているだけであればよいのですが、露骨に態度に表す心の狭い上司も数多くいます。
こうなると、やはり心身ともに疲弊してしまいます。
退職届はこのタイミングで出せ!
ここまで退職届を出した際の失敗事例について見てきました。
いずれもタイミングの悪さに起因しています。こうした失敗を起こさないためには退職届を一番最適なタイミングで出す必要があります。ベストタイミングで退職届を出すために守るべきポイントは3つです。実際にどのような点に気をつけたら良いのか見ていきたいと思います。
何はともあれまずは就業規則の確認を
まずは就業規則を確認しましょう。
法律上は、退職の意思を示してから二週間経てば退職扱いになります。これは民法で定められています。
とは言うものの、退職に関して就業規則に何と書かれているか確認するようにしましょう。
もちろん、就業規則よりも法律に優位性があるのは当然です。しかし、就業規則に関してもやはり法律によって定めがあります。労働基準法には一定条件を満たす会社は就業規則を作成する義務があると明記されています。さらに会社の就業規則は労働基準監督署への届出が義務付けられています。つまり、就業規則に関しても法律の庇護下にあると言えるのです。
さらに言えば、雇用契約書に退職時の規定が書かれている場合もあります。雇用契約書なんて入社時に印鑑を押した後は行方不明になってしまうものですが、こんな時にその存在価値を思い知らされることになります。
こうした規定に違反した場合は、間違いなく訴えられてしまいます。裁判に勝つためには会社の不法行為を証明するか、海外逃亡した某氏やお痛(おいた)をしてしまった芸能人を弁護するような敏腕弁護士に頼むしかありません。
このように、後々面倒なことになってしまうのを避けるためにまずは就業規則を確認しましょう。
自分の身の振り方が決まってから出そう
上司に向かって退職届を叩きつけることができれば爽快感この上ないのですが、勢いに任せてしまってはいけません。
特に、その場の感情で「辞めてやる!」と思い立つのは愚の骨頂です。しっかりとした計画を立てる必要があります。そういった意味で言うと、自分の身の振り方が決まってから退職届を出すようにしましょう。
特に意識しておきたいのは経済的に問題ないかという点です。
収入でも良いですし、自己資金に余裕がある、どちらでも構いません。生活さえできれば後は何とでもなります。しかし、そもそも生活が成り立たなくなってしまっては元も子もありません。
自分の身の振り方が決まっていれば、精神的にも気が楽になります。
たとえ何か言われようが態度に出されようが(そんな人はあまりいませんが)
「フフン。社畜どもめが。」
ぐらいに受け流すことができます。
自分の人生をバラ色にするためにも、退社後どうするかを明確にし、計画を持つようにしましょう。
退職届を出しても影響が少ない時を選ぼう
就業規則を確認し、自分の身の振り方が決まったらいよいよ退職届を出すことになります。
まず、退職届を出すのであれば「夕方」に出すことをおすすめします。理由は、朝、昼間は業務が忙しく時間を取ってもらえないからです。始業直後はメールチェック、スケジュールチェック、仕掛り業務の確認で忙しいし、日中帯であればまさに業務で忙しいからです。夕方近くになって時間的な余裕ができるとともに、一日の仕事が終わりに近づくという精神的な余裕も生まれます。
次に退職届を出す時期ですが、退職届を出しても影響が少ない時を選びましょう。
つまり、繁盛期を避けるという意味です。
これには二つの理由があります。
一点目は、周囲に迷惑をかけるからです。繁盛期にいきなり退職届を出すと周りの人たちの業務量が増えます。そのことにより、思わぬ反感を買ってしまう可能性があります。
二点目は、引き継ぎが大変になってしまう点です。
繁盛期であれば、ある程度自分で抱えている業務があるはずです。これをいきなり引き継ごうとすると、かなりの量になることが想定されます。その上、引き継ぎ先の人も忙しいため引継ぎできる時間が取れない可能性があります。きちんと引き継ぎできずに反感を買ってしまうことになりかねません。
さらに悪いケースの場合、退職後も個人携帯に連絡が来てしまうことも起こりえます。
こういった事態を避けるためにも、繁盛期を避け、引き継ぎはきっちりしてから辞めましょう。
番外編 退職代行に頼む
退職届を出すタイミングとは少しかけ離れた話となってしまいますが、退職届を出すのも滅入る、ましてその後出社するのも嫌だ、という場合には退職代行に依頼する方法があります。うまくいけば、嫌な上司の顔を二度と見ることなく退職することができます。
退職代行業者に依頼する際に一番気をつけるべき点は、単なる退職代行をする会社か退職代行を行ってくれる法律事務所かどちらであるかという点です。
退職代行業者は退職をするための事務手続きしかしてくれません。つまり、会社との退職条件に関する交渉、退職届を出した後で何らかの問題が発生した場合の法的問題には一切関与してくれません。これは弁護士法に規定されています。弁護士以外の人物が法律相談や仲裁、和解をすることは禁止されているのです。
そのため、思わぬトラブルが発生した場合には結局自分で動かざるを得ない状況になってしまいます。
弁護士に依頼した方が多少費用はかかりますが、それでも数万円の差しかないため、念には念を入れるのであれば法律事務所に相談することをおすすめします。ただし、法律事務所の本業は代行業務ではないため少し嫌がられてしまうかもしれません。現在では退職代行を請け負ってくれる法律事務所も増えつつありますので、退職代行をしてもらえるのか事前に調べるようにしましょう。
何事もタイミングが大切
いかがでしたでしょうか。
退職届を出す時には以下の点に気をつけましょう。
・まずは就業規則を確認
・自分の身の振り方が決まってから出そう
・実際に言い出す時は、夕方がおすすめ
・周囲に影響を及ぼさない時期を見計らって出そう。
退職届を出すタイミングを間違えただけでとんでもないことになってしまいます。
逆に、このタイミングさえ間違えなければ、あとは悠々自適、将来の快適ライフが約束されたとも言えます。
経つ鳥後を濁さず
この言葉を胸に退職後も人生を謳歌するために最後まできっちり手を抜かずに頑張りましょう!